Q&A No.1 キリスト教と他宗教の違い

 宗教については、私たちは普段あまり意識しないものですが、歴史や文化に深く根付いています。そして、どの宗教にも独自の教えや考え方があります。ここでは、キリスト教を中心にしながら、他の宗教との違いをわかりやすく見ていきましょう。


1. 神様は一人?たくさん?それともいない?

 キリスト教では、「唯一の神」を信じています。この神様は宇宙を創った偉大な存在で、「愛」や「正義」の人格を持つとされています。そして、その神様が「父・子(イエス・キリスト)・聖霊」という三つの姿を持つという「三位一体」という独特の考え方があります(エホバの証人など、異端とされる宗教は、この考え方を受け入れません)。一方で、イスラム教も唯一の神(アッラー)を崇拝しますが、「三位一体」ではなく、一人の神という理解です。

 ヒンドゥー教ではどうでしょう?神様がたくさんいる多神教ですが、すべてを統括する根源的な存在として「ブラフマン」がいます。仏教では少し違って、「悟り」を目指す宗教なので、神を信じるよりも修行が重要とされています。


2. 救いってどういうこと?

 キリスト教では「人は誰でも罪を持っている」と考えます。その罪を解決し、神様との良い関係を取り戻すために、イエス・キリストが十字架にかかって命を献げたのだ、という教えが中心です。このイエスの「贖い(あがない)」によって人は救われ、永遠の命が得られると言われています。

 一方で仏教の「救い」は、輪廻(生まれ変わり)の苦しみから解放されること。これには修行や瞑想が必要です。イスラム教では、救いはアッラーの定めによりますが、善行と信仰が重要な役割を果たします。ヒンドゥー教では、自分の行い(カルマ)によって解脱が得られるという考え方です。


3. 聖典はあるの?

 キリスト教の聖典は「聖書」です。「旧約聖書」と「新約聖書」に分かれ、神様の言葉が書かれているとされています。一方、イスラム教では「クルアーン」が神の啓示そのもの。仏教には多数の経典(お経)があり、ヒンドゥー教では「ヴェーダ」や「バガヴァッド・ギーター」が重要な書物です。それぞれが信仰と生活のガイドブックになっています。


4. 宗教はどう実践する?

 キリスト教では、礼拝や祈り、洗礼、聖餐式(パンとぶどう酒を分かち合う儀式)が主要な実践です。さらに「隣人を愛する」ことがキリスト教の行動指針になります。イスラム教では「五行」と呼ばれる5つの義務(信仰告白、礼拝、断食、喜捨(寄付)、巡礼)が基本です。

仏教では瞑想や戒律(ルールを守ること)が大事ですし、ヒンドゥー教ではヨーガやプジャ(礼拝の儀式)が行われます。それぞれが独特の形で信仰を深めていきます。


5. 人間とは?

 キリスト教では、「人間は神の形に似せて創られた」とされ、尊厳のある存在とされています。ただし、すべての人間は罪を持つ存在でもあるため、救いが必要とされます。他の宗教では、少し捉え方が異なります。仏教は「無我」を説き、自己を本質的なものとは考えません。ヒンドゥー教は、「魂(アートマン)」が神聖なもので、宇宙と一体となることを目指します。


 こうしてみると、宗教ごとに考え方が随分異なることがわかります。でも、それぞれが人間の「なぜ生きるのか」という深い問いに答えようとしています。違いを知り、理解を深めることが、宗教間の平和的な共存につながるのかもしれません。

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