幸せはお金だけで決まるの?
高い負担と生活の安心
世界の人々の生活満足度を比べる調査では、北欧の国々が上位に入ることがよくあります。フィンランド、デンマーク、スウェーデンなどです。これらの国は、税や社会保険料の負担が比較的大きいことでも知られています。
それなのに、なぜ人々は比較的高い満足感を示すのでしょうか。一つの理由として考えられるのが「安心」です。病気になったとき、子どもが生まれたとき、失業したとき、老後を迎えたとき。人生の困難を個人だけに背負わせず、社会の制度で支えようとします。
崖のそばの道を歩く場面を想像してください。手すりがなければ、転ばないように慎重に歩かなければなりません。手すりがあれば、安心して先へ進めます。高福祉とは、人生の道に社会全体で手すりをつける仕組みだと考えられます。
福祉を支える費用と課題
もちろん、その手すりは無料ではありません。税金や社会保険料という形で、多くの人が費用を分担します。自由に使えるお金が減るため、負担が重いと感じる人もいます。制度が大きくなりすぎれば、行政の無駄や働く意欲への影響を心配する声も出ます。
また、北欧の制度をそのまま日本へ持ってくれば成功するとも限りません。人口規模、産業、家族観、政府への信頼などが異なるからです。
ここで覚えてほしいのは、税金は目的ではなく手段だということです。税率が高いこと自体が立派なのでも、低いこと自体が正しいのでもありません。何を実現するために、誰がどれだけ負担するのかが大切です。
では日本は、北欧のような社会を目指すのでしょうか。それとも、自分で備える部分をもっと増やすのでしょうか。実は、その答えをはっきり決められないまま、多くの制度を抱えています。
安心には、お金で測りにくい面もあります。病気や失業を恐れて挑戦をあきらめずに済むこと、子育てと仕事を両立しやすいこと、家庭の事情に左右されず学べることは、人生の選択肢を広げます。一方、制度を維持するには、働く人や企業が負担に納得できること、支援が必要な人へ届くこと、行政が効率よく運営されることが必要です。高福祉・高負担は「国が全部してくれる社会」ではなく、受ける支援と担う負担の両方について、市民が合意を作り続ける社会だと言えます。
次回は、日本が直面する少子高齢化を見ていきます。私たちが消費税について悩み続ける大きな理由が、そこに隠れています。 ©Dr. Makoto
Higher burdens and greater security
Nordic countries often combine relatively high taxes and social insurance contributions with strong public services. Their systems try to give people security when they face illness, unemployment, childbirth, disability, or old age. Welfare can be compared to a handrail on a difficult path: it does not walk for us, but it can help us move forward without one fall destroying our future.
The cost and limits of welfare
The handrail is not free. Large systems require broad contributions, effective administration, and public trust. If programs become wasteful or poorly designed, people may lose confidence or feel that effort is not rewarded. A system that works in one country cannot simply be copied into another with a different population, economy, culture, and family structure. Taxes are a means, not an end. The real question is what security society wants to provide, who will pay, and whether the arrangement can last. ©Dr. Makoto


